生で食べる以外に炒めたり、煮込んだりしても美味しいトマト。
ビタミン類も豊富で、特に抗酸化作用のリコピンは美肌や健康効果で注目されていますよね。
私も家でトマトを料理に使うのですが、以前はトマトソースのような加熱調理を「難しいなぁ」と思っていました。
長時間煮込んでもトマトの酸味が出てしまって、甘みやうま味、コクがうまく出せなかったんですよね……
そこで、酸味をやわらげたり、甘みを引き出すために工夫していったことをご紹介します。
大まかには以下の3点です。
- トマトの酸味を加熱でやわらげる!
- トマトの甘みを加熱以外の方法で出す!
- 甘みが出やすいのは生のトマト?トマト缶?
おいしいトマト料理作りの参考にして頂ければと思います!
Contents
トマトの酸味を加熱でやわらげる!
トマトは加熱するとうま味がアップします。
でも時間をかけて煮込んでも、酸味が出てしまうこともあります。
そんな場合は、以下の方法を試してみてください!
- あわせる野菜の甘みを出す
- 加熱の温度を調節する
温度調節については、低温加熱と高温加熱があるので、それぞれの仕組みも解説いたしますね!
あわせる野菜の甘みを出す
,野菜には加熱すると甘みが出るものが多くありますよね?
これは、加熱によって野菜の細胞壁が壊れ、本来持っていた甘みが出てきたんです。
先に野菜を炒めて甘みを出し、トマトとあわせて煮込むとおいしいトマトソースができます。
特に玉ねぎは元々糖質が多く、加熱で甘みがよく出るのでトマトソースの材料にオススメです。
人参やセロリも加熱で甘みが出ますし、トマトにも合うので良いと思います。
多少味や食感が変わってもOKならカボチャを使ってみるという手も。
野菜を炒める時に塩をひとつまみ入れると、野菜の甘みを引きたててくれます。
ちなみに、玉ねぎが加熱で甘くなるのは、辛み成分が加熱で飛び、隠れていた甘みが出たという側面もあるんです。
野菜に含まれる辛み成分は硫化化合物と呼ばれ、抗酸化作用や殺菌効果などがあります。
玉ねぎやにんにくの硫化アリル、キャベツや大根のイソチオシアネートがよく見聞きする成分ではないでしょうか?
この辛み成分が、野菜の甘みを打ち消してしまうのだそうです。
実は「甘みが隠れる」という現象は、辛みだけでなく酸味でも起こります。
例えばレモンは糖度自体は高いのですが、酸味が強いため甘みが感じられなくなっているのだそうです。
低温(50~60℃)で加熱し、うま味をアップさせる
低温加熱は、うま味を引き出して酸味とのバランスをとる方法です。
トマトにはうま味成分のグルタミン酸が多く含まれています。
そして、グルタミン酸を増強するグアニル酸という成分も含まれているんです。
このグアニル酸が最も増える温度が50~60℃くらい。
トマトの加熱調理によって、うま味成分であるグアニル酸が増加する。オーブン加熱の場合、加熱前(10mg)の約1.8倍となる。グアニル酸増加の最適温度は、50~60℃である。
トマトを丸ごとオーブンで焼いたり水煮にすれば、トマトにゆっくり火が通ってうま味が増していきます。
お鍋で煮込む場合は、果実をつぶして果肉と果汁を均一にならしておけば、熱の通りにムラができません。
弱火で、焦がさないよう時々混ぜます。
20分以上加熱すると、酸味がやわらいでくるはずです。
低温加熱のトマトソース
材料
- ホールトマト1缶(400g)
- にんにく1かけ
- 玉ねぎ45g(小で1/4個+1/8個)
- 人参30g
- オリーブオイル大さじ1
- 塩ひとつまみ
作り方
- ホールトマトはボウルに出し、果実を手で握って均一につぶします。
- トマトの皮や芯があれば取り除きます。
- にんにく・玉ねぎ・人参はみじん切りにします。
- オリーブオイルとにんにくを炒めます。
- 香りが出たら玉ねぎと人参を加え、塩をふって炒めます。
- 野菜に火が通り、玉ねぎが透明になってきたら①のトマトを加えます。
- 時々混ぜながら弱火で煮込みます。
煮込み時間は20分くらいかそれ以上、お好みの味になるまででOKです。
高温(175℃以上)で酸味の元を分解する
「トマトの酸味そのものを消したい!」
そんな場合はトマトを高温で加熱し、酸味の元を分解する方法もあります。
トマトの酸味の90%はクエン酸です。
クエン酸は加熱で分解できますが、その温度は175℃と高温です。
水を加えたりトマトだけで煮込むと、175℃まで温度が上がりません。
そこで、たくさんの油と一緒に加熱します!
水を加える前に加熱するのがポイントです。
具体的には、まずトマトを入れる前に玉ねぎなどの野菜を多めの油で炒めておきます。
油の温度が上がったところにトマトを加え、強火で5分くらい加熱してください。
あとは火を弱め、程よい酸味になるまで煮込めばOKです。
高温加熱のトマトソース
材料
- ホールトマト1缶(400g)
- にんにく1かけ
- 玉ねぎ45g(小で1/4個+1/8個)
- 人参30g
- オリーブオイル60cc(大さじ4)
- 塩ひとつまみ
作り方
- ホールトマトはボウルに出し、果実を手で握って均一につぶします。トマトの皮や芯があれば取り除きます。
- にんにく・玉ねぎ・人参はみじん切りにします。
- オリーブオイルとにんにくを炒めます。
- 香りが出たら玉ねぎと人参を加え、塩をふって炒めます。
- 野菜に火が通り、玉ねぎが透明になってきたら①のトマトを加えます。
- 強火で5分くらい加熱。
- 油やトマトがはねるのでふたをしますが、蒸気を逃がすため少しずらします。
- 火を弱めて程よい酸味になるまで煮詰めます。
ちなみに油やトマトの水分がかなりはねます。
やけどをしないよう、また服やコンロの汚れも防げるように、鍋ぶたやステンレス製のザルをかぶせてガードしましょう。
トマトの甘みは加熱以外の方法で出る?
トマトの甘みを出す方法は、加熱する以外にもあります。
それが、この2つ。
- 調味料を加えて調節する
- 種を取る
こちらも順番に紹介していきます。
調味料を加えて調節する
ここでは仕上げの段階で加えて、味を調節するものを紹介いたします。
加熱後にトマトソースの味見をしてみて、もし「もう少し甘みが欲しいな」「もっと酸味を減らしたいな」と感じたら、この方法が役に立つはず!
どれも家にあったり、お店ですぐ手に入るものばかりです。
砂糖
単純なようですが、砂糖を加えると酸味がまろやかになって甘みが感じられます。
甘くなりすぎないように、少しずつ加えて味を調節してくださいね。
ハチミツ
ハチミツなら甘さに加えてコクを出すこともできます。
砂糖と同じく、少しずつ加えて味をみてください。
ただし、ハチミツは1歳未満の乳児は食べてはいけない食品です。
トマト料理に限らず、ハチミツを1歳未満のお子さんにあげないよう、注意が欠かせません。
粉チーズ
粉チーズをトマトソースに溶かすと酸味がまろやかになり、コクも出ます。
入れる量を増やすとトマトソースの色がほんの少し淡くなりますが、そんなには目立たないのでご安心を。
食べる直前にかけても酸味がやわらいだと感じられるので、食べる人それぞれの好みにあわせて粉チーズの量を変えることもできます。
重曹
重曹はアルカリ性なのでクエン酸を中和してくれるんです。
この方法、確実に酸味がやわらぎます!
ですが、酸味が全く無くなると深みのない味になり、もの足りなく感じるかもしれません。
それに、重曹を入れすぎると苦味が出てしまうことがあります。
そうなると味の修復が難しいと思われます……
少し入れては味の確認をするくらい、慎重に加えていきましょう。
種を取る
繰り返しになりますが、トマトの酸味の90%はクエン酸です。
クエン酸は疲労回復などの健康効果がありますが、酸味が強いのも確かですよね?
種の周りのゼリー状の部分に最もクエン酸が含まれているので、種を取ってしまえば酸味を抑えることができます。
ただ、旨み成分のグルタミン酸が多く含まれるのもこのゼリー状の部分なんです。
その量は、果肉部分の2倍もあるのだそう。
できれば捨てずに使って、旨みも味わいたいところです。
甘みが出やすいのは生のトマト?トマト缶?
結論からいくと、加熱調理で甘いトマト料理を作りやすいのは、ホールトマト缶です。
その理由は、
完熟したトマトを使っている
加熱すると甘みがでる
もちろん生のトマトやカットトマトでも作れない訳ではありません。
それぞれの特徴や選び方を解説していきます!
生のトマトの特徴・選び方
通常、生のトマトはお店に並ぶまでの時間を考慮し、完熟前に収穫されています。
トマトは収穫したらそれ以上糖度は上がりません。
運送中に追熟して赤くなり、酸味は減りますが、甘みが増える訳ではないんです。
とはいえ、生のトマトを使いたいという時もありますよね?
そんな時は完熟してから収穫したトマトや、もともと糖度の高いトマトを選びましよう!
プチトマトや水分を抑えて栽培したフルーツトマトなら、甘みが強いので加熱調理にも向いています。
生のトマトを選ぶ時は以下のポイントをチェックしてみましょう。
- ヘタが濃い緑
- 実が赤くて形が丸い
- おしりの星形の筋が大きい
- 小さな白い斑点がない
詳しくはこちらをご覧ください!
ホールトマト缶とカットトマト缶の特徴・選び方
以前はわたしもそう思っていました。
確かに、どちらのトマト缶もトマトの水煮なのは変わりません。
でもラベルをよく見ると、ホールトマト缶には細長いトマトが、カットトマト缶には丸いトマトが描かれているんですよね。
実は、両者はそれぞれ品種も、向いている料理も違っていたんです!
多くは「サンマルツァーノ種」という細長いイタリアントマトがまるごと入っています。
果肉が厚くゼリーや種の部分が少ない品種で、水っぽくなりません。
甘みや味が濃いですが、種がある分酸味も感じられます。
加熱すると果肉は柔らかくなり、甘みやうま味が出るのでトマトソースのような煮込み料理に向いています。
こちらの品種は主に「ロマーノ種」。
形は丸く、煮くずれしにくいタイプです。
果肉はダイス状にカットされています。
種が多少取り除かれているため、酸味はホールトマトより少なめです。
カットトマトは、トマトの食感・果肉感も味わいたい料理にオススメ。
ミネストローネなどでレシピの最後に加え、温めるくらいでもおいしく頂けます。
また、ドレッシングのようにサラダにかけるという使い方もできるんです。
もしトマトソースに使うなら、やはり果肉をつぶし、果汁と均一に混ぜてから加熱すると良いと思います。
トマトソースは酸味をおさえて甘くおいしく作れる!まとめ
私も今では「お店で食べる味みたい」と家族に喜んでもらえるようになりました。
あなたもぜひ、トマトの甘みやうま味を引き出して、おいしいトマト料理を楽しんでくださいね!
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