スーパーなどで売られている野菜ジュースやオレンジジュース、飲みやすくておいしいですよね。「野菜不足だなぁ」とか「ビタミンがとりたい」という時に飲む方もいらっしゃると思います。
ところでジュースを選ぶ時、容器のどこかに「濃縮還元」や「ストレート」と書かれているのをご覧になったことがあるのではないでしょうか?
「同じ果汁100%のジュースなのに、何が違うんだろう?」
「栄養素に違いがあるのかな?」
そんな疑問にお答えするべく、こちらでは以下のことを解説したいと思います。
- 濃縮還元とストレートの違いは「製法」
- 濃縮還元のメリット・デメリット
- 濃縮還元とストレートで栄養に違いがあるか
濃縮還元とストレートはそれぞれどういうものなのか、栄養などに違いがあるのか。
それでは、見ていきましょう!
Contents
濃縮還元とストレートの違いは「製法」
濃縮還元とストレートの違いは何なのか?
それは、その製法にありました!
濃縮還元とは
まず野菜や果汁の水分を飛ばし、5分の1程度の体積に濃縮します。
濃縮した状態で冷凍保存しておき、商品にする時に水を加えて濃度を100%に戻したものが濃縮還元です。
一般的には「真空蒸発濃縮法」という濃縮方法が広く使われています。
これは減圧した装置内で果汁を加熱し、水分を飛ばす方法です。
比較的低温で短時間の加熱で済むため、成分変化は少ないですが、香りは減ってしまいます。
他の濃縮方法としては、果汁の水分を凍らせて分離する「凍結濃縮」や、特殊な膜でろ過する「膜濃縮」などがあります。
ストレートとは
収穫時期やその時の出来によって味などの品質が左右されますが、自然の味に近いものを楽しめます。
ただし、濃縮還元に比べ価格が高めです。
ストレートのジュースには、砂糖やハチミツなどの糖分は加えられていません。
また、酸化を防ぐため、ビタミンCが添加されています。
濃縮還元のメリット・デメリット
果汁をいったん濃縮して、また水を加えて還元するなんて、面倒くさいし手間がかかるような気がしますよね?
でも、濃縮還元にはちゃんとメリットもあるんです。
濃縮還元のメリットと、デメリットもあわせてご紹介します。
濃縮還元のメリット
濃縮還元のメリットは以下の3点です。
- 輸送コストが減らせる
- 保管場所をとらない
- 一年中使え、品質が安定する
1つづつ解説していきますね。
輸送コストが減らせる
また同じ輸送費でより多く原料を運べる、とも言えます。
保管場所をとらない
濃縮された原料は長期間冷凍保存されるので、体積が小さいほうが、場所的・時間的に保管費用を抑えられます。
一年中使え、品質が安定する
濃縮して冷凍保存し、必要な時にブレンドすることで、一年中同じ品質のジュースを作ることができます。
濃縮還元のデメリット
デメリットはこちらの2点です。
- 産地(原産国)が分からない
- 味や香りがとんでしまう
こちらも説明致します。
産地(原産国)が分からない
ジュースには原産国の表示義務がなかったので、今まではほとんど容器に書かれず原産国は分かりませんでした。
2018年に食品表示法が変わり、2022年4月までに全部の加工食品に原産国の表示が義務づけられたので、今後表示が増えてゆくはずです。
ですが、
- 原料の多い順で2か国まで表示(例:国産・アメリカ産・その他)
- 毎年使用割合が変わる場合、○○又は○○と表示(例:タイまたはシンガポール)
- 3か国以上の外国が原産国だと「輸入品」とまとめて表示してOK
- 表示する原料が加工食品(中間加工原材料)の場合、製造国を表示すればOK
など例外措置もあり、全部の原産国が容器に表示されるとは限りません。
確かに、原産国が多い場合、200ml入りなどの小さな容器に全部の国名を表示するのは難しいかも知れません……
それに原料の割合が変わるたびに容器の表示を変えなければならないと、かなりコストもかかってしまいますよね。
でも、国産か外国産かの見分けはつきそうなので、国産にこだわる方には有益な情報なのではないでしょうか。
メーカーさんのホームページで原産国表示が見られる商品もあるので、気になる方は調べてみるのも良いと思います。
味や香りがとんでしまう
そのため香料を入れたり、砂糖や塩を加えて味を整えているものもあります。
香料は国が安全と認めたものだけが使用されています。
量も少ないですし、果汁由来のものが使われている場合もあるので、それほど心配しなくても良さそうです。
砂糖は全体の5%までなら加えて良いことになっています。
砂糖を加えた場合は「濃縮還元」とあわせて「加糖」と表記するよう定められています。
濃縮還元にも、酸化防止剤としてビタミンCが添加されます。
濃縮還元とストレートで栄養に違いがあるか
濃縮還元のジュースは飲んでも栄養はとれないのでしょうか?
実際の栄養はほとんど変わらない
昔の濃縮還元の製法では、栄養がほとんど抜けてしまったことがあったようです。
ですが現在は技術も進歩し、栄養はほとんど変わらないのだそうです。
栄養成分については、野菜ジュースメーカーのカゴメも分析をしています。
ストレートタイプのジュースと濃縮還元のジュースと比べた場合、例えば、カゴメのストレートタイプのトマトジュースと濃縮還元のトマトジュースでは、栄養成分表示は同じ値です。
ただし、ストレートタイプ、濃縮還元など製法に関わらずジュースに加工する過程で、食物繊維・ビタミンCなど減少する成分があります。
濃縮還元もストレートも、濃縮や殺菌のために加熱すると、ビタミンCや食物繊維などは少し減ってしまいます。
ただ、そのほかはそんなに変わらないということなんですね。
吸収率がよくなる栄養素もある
でも減少しにくいものや、生野菜より加工したほうが吸収率が良くなる栄養もあります。
加熱しても減少しにくい栄養素はたくさんあります。
カルシウムやカリウムなどのミネラルや、野菜の色素であるカロテノイドなどです。
これらの中には、リコピンやβ-カロテンのように、生の野菜から摂るよりも野菜ジュース等の加工品で摂る方が吸収率の良い栄養素もあるのです。
果汁100%だけが「ジュース」だった!
ここで「ジュース」という呼び方についても少し触れたいと思います。
私たちは普段、色々な飲み物のことを「ジュース」と呼んでいますが、その中にはジュースではないものも含まれているんです。
JAS法(日本農林規格)で果汁飲料について以下のように呼び方が決まっています。
- 果実ジュース:1つの果物100%(オレンジのみ、みかん類が含まれても良い)
- 果実ミックスジュース:2つ以上の果物果汁100%
- 果粒入り果実ジュース:果肉を含む果汁100%
- 果実・野菜ミックスジュース:2つ以上の果物と野菜の果汁100%(果物果汁が50%以上)
つまり「ジュース」とは、(果肉も含め)果汁100%のものだけを指します!
ちなみに果汁100%ではないものは、こんな風に表示します。
- 果汁入り飲料:果汁10~100%未満
- 清涼飲料水または一般名称:果汁0~10%未満
例えば、ぶどう果汁30%なら「30%ぶどう果汁入り飲料」となります。
果汁0~5%は「果汁5%未満」、5~10%は「果汁10%未満」と表示した上で「清涼飲料水」「炭酸飲料」などと書かれます。
これは加工食品についての決まりなので、飲食店で出される「ジュース」は果汁100%でなくてもジュースと呼べるのだとか。
そして「濃縮還元」「ストレート」の表示が定められているのは、果物の果汁100%製品のみです。
100%未満の果汁飲料や、野菜と果汁の混合飲料には表示義務がありません。
また果汁100%製品以外の容器には、果物の断面の写真やイラストをのせられないんです。
まとめ:濃縮還元とストレートの栄養はあまり変わらない
普段の食事に栄養補助としてジュースをプラスするのは有りだと思います!
ただし、濃縮還元には砂糖・食塩が入っている場合がありますし、果物自体にも果糖が含まれています。
カロリーが気になる方は、飲む量に気を付けた方が良いかも知れません。
なるべく自然なものが良いなあと思ったら、ストレートの方が果物や野菜そのものの味を楽しめそうですね。
時には季節の果物や野菜を使って、フレッシュジュースやスムージーを自分で作ってみるのも良いのではないでしょうか?
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