「食べる輸血」ともいわれるスーパーフードのビーツ。
最近では、ビーツの効果・効能に注目が集まり、人気の野菜になりつつありますね。
でも、反面、注意しなければならないこともあるのです。
例えば、知恵袋ではこんな相談を見かけます。
ビーツを食べすぎると腹痛をおこしますか?
先日、生のビーツを購入し、ゆでてからサラダにして食べました。
その後、腹痛におそわれたのですが、ビーツのせいでしょうか?引用:Yahoo知恵袋
どうやら、ビーツを食べる量によって、実際に下痢になってしまうことがあるようなんです。
そこで、この記事では、
- ビーツが下痢を引き起こす原因とは?
- 摂取量の目安はどのくらい?
- ビーツを効果的に食べるコツ
を中心に詳しく解説いたします。
なお、先にお伝えしておくと、ビーツは決して危険な食べ物ではありません。
この記事を読むことで、安心して健康によいビーツを味わってもらえるようになりますよ。
では、さっそくご紹介していきますね。
Contents
ビーツで下痢を引き起こす原因は食物繊維とオリゴ糖
ビーツには、「食物繊維」や「オリゴ糖(ラフィノース)」という、腸内環境を整えて便通を良くする成分が含まれています。
実は、この2つの成分が下痢を引き起こす原因になる場合があるんです。
「えっ?どちらもお腹によい成分じゃないの?」
と、矛盾を感じる方もいらっしゃると思いますが、食べ過ぎるとお腹が緩くなる性質も持っているんです。
そこで、この2つの成分の特徴から、下痢の原因について解説していきます。
ビーツには不溶性食物繊維が多い
不溶性食物繊維は、水分を吸収してふくらむ特徴を持っています。
これが腸壁を刺激して、ぜん動運動※をサポートし、スムーズな排便を促すようになります。
※消化した食べ物を、腸が伸びたり縮んだりを繰り返し体外へ排出するしくみ。
画像引用:e健康ショップ
しかし、不溶性食物繊維を摂りすぎると、この「ぜん動運動」が下痢症状を引き起こすことがあるんです。
ぜん動運動が活発になり過ぎると、便が腸内にとどまる時間が短くなり、十分に水分が吸収されないまま排出されるため、下痢になります。
引用:トメダインコーワ
特に、胃腸が弱めな方や普段から下痢ぎみの方は、下痢症状になりやすいのでご注意くださいね。
ところで、食物繊維には「不溶性食物繊維」の他に「水溶性食物繊維」があります。
水溶性食物繊維は水に溶けてゲル状に変化し、食物の移動をゆるやかにします。
そして、腸内のあらゆる物質を吸着し体外に運び出します。
なお、ビーツにはどちらの食物繊維も含まれ、次のような割合になっています。
ビーツは不溶性食物繊維のほうが多いことが分かりますね。
ビーツ(生)100gあたりの食物繊維量
水溶性食物繊維 | 不溶性食物繊維 | 食物繊維総量 |
0.7g | 2.0g | 2.7g |
オリゴ糖を摂りすぎると腸のバランスが崩れる
ビーツには「ラフィノース」と呼ばれる天然のオリゴ糖が多く含まれます。
難消化性のラフィノースは、胃や小腸で吸収されずに大腸に達し、善玉菌(ビフィズス菌)を増殖し悪玉菌を駆逐します。
しかし、食物繊維と同様に、多く摂りすぎると腸のバランスが崩れ、下痢を引き起こすことがあるんです。
オリゴ糖を急に摂取すると下痢を起こしたり、おなかが張ったりすることがあります。
~中略~
オリゴ糖に対する腸内細菌の「慣れ」を考えながら摂取することが重要です。
このように、ビーツに含まれる2つの成分「食物繊維」と「オリゴ糖(ラフィノース)」が、下痢の原因になりえることがお分かりいただけたでしょうか。
でも、それはあくまでビーツを多く食べ過ぎた場合です。
適量を食べる分には大丈夫ですので、極端に怖がることはありません。
また、ビーツの食べ過ぎで尿(にょう)が赤くなることがありますが、赤い色素「ベタシアニン」の影響なんです。
こちらも、体に害はないのでご安心ください。
この後、ビーツの健康的な摂取量についてもご紹介しますので参考にしてくださいね。
ビーツの健康的な摂取量は1日2個が目安
ビーツ2個分というと、ビーツジュースにした場合コップ一杯くらいの量になります。
なお、次の表はビーツ2個(200g)に含まれる栄養素と一日あたりの目標摂取量を見くらべたものです。
栄養素は、ビーツに多く含まれるものを抜粋しています。
栄養素 | 含有量 | 成人一日当たりの 目標摂取量 |
食物繊維 | 5.4g | 男性20g、女性18g (年齢による) |
カリウム | 920mg | 男性2,500㎎、女性では2,000㎎ |
葉酸 | 220μg | 男女ともに240㎍ |
参考:日本食品標準成分表2015年版(七訂)、日本人の食事摂取基準
一日の目標摂取量に対し、食物繊維は約4分の1、カリウムは約2分の1~3分の1、葉酸は全量が摂取できることになります。
ビーツ2個だけでも、けっこう含有量が多いことが分かりますね。
なにごとも食べ過ぎはよくありませんので、健康的な摂取量を超えないように注意しましょう。
適量のビーツはカラダに嬉しい効果がある
ビーツを適量食べた場合、次のようなカラダに嬉しい効果があるといわれています。
- 血行の促進
- 基礎代謝力のアップ
- 生活慣習病の予防やアンチエイジング効果
こちらの記事でより詳しくご紹介していますので、参考にしてください。
>>今注目の根菜「ビーツ」がスゴイ!栄養と効能、おすすめレシピも紹介
ビーツは皮ごと下茹でするのが効果的(レシピつき)
ビーツの栄養価を保ったまま効果的においしく食べるなら、皮つきのまま下茹でして食べることをおすすめします。
その理由は、皮つきのまま下茹ですることで、栄養や色、うまみが流れてしまうのを防げるからなんです。
また、食物繊維が体に吸収しやすくなったり、独特の臭みが消えたりする効果もあります。
こちらの記事でビーツの下ごしらえの方法を詳しく紹介していますので、知りたい方はぜひ、お読みください。
>>奇跡の野菜「ビーツ」は皮ごと食べると栄養はどう?剥き方のコツを解説します
もちろん、生でビーツを食べても栄養価を保てますが、土臭さや歯ごたえが気になる人は、下ごしらえしたほうが間違いないでしょう。
なお、ビーツの葉や茎にも高い栄養素が含まれています。
さらにビーツの栄養を丸ごと取り入れたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
>>ビーツの葉・茎は食べられる!栄養抜群ビーツをまるごと美味しく食べよう!
ビーツを使ったお腹にやさしいレシピ
「ビーツは食べてみたいけど、胃腸が弱めなのでちょっと心配」という方もいらっしゃると思います。
そこで、お腹にやさしく消化のよいビーツのレシピをご紹介しますね。
・真っピンクなビーツのチーズリゾット
画像引用:COOKPAD
材料(一人前)
- 玉ねぎ1/2
- ビーツ1/3
- 米(洗わない)3/2〜1カップ
- バター10g
- 水400ml
- コンソメ小さじ1
- 牛乳100ml
- 粉チーズ大さじ3
- 塩胡椒適量
玉ねぎとビーツのシンプルなリゾットです。
鮮やかなピンク色の見た目がインスタ映えします。
お米を炊いた後の、最後の仕上げにビーツと牛乳を入れるのがポイントです。
・ビーツのホットサラダ
画像引用:ナチュラルダイエット
人参やさつまいもなど根菜と一緒に蒸し煮にしたビーツのホットサラダです。
ビーツ+根菜類が体を温めてくれます。
>>ビーツのホットサラダ☆マクロビ・グルテンフリーレシピを見てみる
・ロシア人の先生に教わった ボルシチ レシピ・作り方
画像引用:楽天レシピ
ボルシチは、ビーツを使った煮込みスープのことです。
消化がよくビタミンや食物繊維がしっかり摂取できます。
なお、ロシアでは体調が悪い時に食べる「病人食」だそうです。
「生のビーツ」を使うことが、おいしいボルシチを作るポイントです。
>>ロシア人の先生に教わった ボルシチ レシピ・作り方を楽天レシピで見てみる
以上、お腹にやさしいレシピの一例をご紹介しました。
ビーツに食べ慣れてきたら、ぜひ、いろいろな料理に挑戦してみてくださいね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、ビーツが下痢を引き起こす原因や、健康的な摂取量について解説いたしました。
体に良いはずの食物繊維やオリゴ糖の成分が、食べすぎると下痢を引き起こす原因になるなんて、びっくりですよね。
ビーツを食べるのなら、1日2個まで(ジュースの場合はコップ1杯)が健康的な摂取量となります。栄養価の高いビーツをじょうずに食事に取り入れて、健康的な生活を目指していきましょう。
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